仕事が終わり、明日は休みだからと車で送ってもらい、いい話をききました。
もう、息子に仕事を譲った大工さんが、
近くを通り瓦がずれているからと自宅の屋根を直してくれたそうです。
自分の建てた家をきっといつも見回っているんですね。
その70歳を過ぎた大工さんには夢があるのだそうです。
ひとつの夢は、パワーポイントが使えるようになること。
小学校や中学校でいろいろな職業紹介の授業にいつもよばれて、
大工の仕事について語るんですけど、
他の職業の人はパソコンで仕事場を見せているようで、
話している内容はひけをとらないんだが
子供たちへのアピール度がちょっと欠けるのだそうです。
もうひとつの夢は、ヘルパーの資格を取ることです。
こっちの夢はあと何時間かで実現できるそうです。
老人がヘルパーの資格をとってどうするんだ家族に言われたが、
家には90歳を過ぎたホントの年寄りがいるんだから
いつかは自分も面倒をみてやりたいと。
「まあ、なんて素敵なんでしょう。その講習会ではどんなことを教わったのですか」
「お年寄りの話はまずは黙ってよーく聞くこと。
からだを動かすときは、本人の力をつかって動かすのがコツ。
そして、その人の一番輝いているときのことを想像して付き合うこと。
いい勉強になったよ。」
柔和な顔や、さわやかな口調が浮かんでくるようでした。
なんともいえない感嘆のため息が出ました。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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