【2003年2月10日】ごめんなさいね

Aさんは、
「早くして!早くして!」
とナースステーションの前で大声を出しています。
もう自分ではどうして言いかわからないから、
「早くして早くして」
しかいえません。
それも怒ったようにしか言えません。
婦長が行くと、
「怒りたくなちゃうんだ」
といいます。
「それはつらいことだわね」
というと、
「そうなの、ほんとは泣きたくなっちゃうの」
といいます。
「それなら、泣いてもいいのよ」
というと泣きました。
「ワタシはただイライラモードになっていただけなのに、
そんなに怒らなくたっていいって言われる。
みんな、わかってくれない。」
「そうだったのね、ごめんなさいね」
「もう、イライラモードじゃなくなった。」
そういって、
その日大声がなくなりました。

夕方、Aさんが新聞をもってきました。
「あたし、これだったのね」
そこには、介護に疲れた人のチェック項目がのっていました。
抱え込み度一介護は自分ががんばらなくてはと思う。他・・・
周囲の無理解度一周囲が介護の大変さを理解してくれない。他・・・
精神的な疲労度一介護する相手とのコミュニケーションがとれない。
イライラ当り散らすことが多くなった。他・・・
身体の疲労度一疲れやすくなった。他・・・

ホントね。ごめんなさいね。
わかっているのはAさん。
わかっていないのは職員ね。
ちなみにその記事は、
読売新聞2月9日号「やさしい介護学一頑張り過ぎず、余裕をもってー」です。
 

※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。

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