Aさんは、
「早くして!早くして!」
とナースステーションの前で大声を出しています。
もう自分ではどうして言いかわからないから、
「早くして早くして」
しかいえません。
それも怒ったようにしか言えません。
婦長が行くと、
「怒りたくなちゃうんだ」
といいます。
「それはつらいことだわね」
というと、
「そうなの、ほんとは泣きたくなっちゃうの」
といいます。
「それなら、泣いてもいいのよ」
というと泣きました。
「ワタシはただイライラモードになっていただけなのに、
そんなに怒らなくたっていいって言われる。
みんな、わかってくれない。」
「そうだったのね、ごめんなさいね」
「もう、イライラモードじゃなくなった。」
そういって、
その日大声がなくなりました。
夕方、Aさんが新聞をもってきました。
「あたし、これだったのね」
そこには、介護に疲れた人のチェック項目がのっていました。
抱え込み度一介護は自分ががんばらなくてはと思う。他・・・
周囲の無理解度一周囲が介護の大変さを理解してくれない。他・・・
精神的な疲労度一介護する相手とのコミュニケーションがとれない。
イライラ当り散らすことが多くなった。他・・・
身体の疲労度一疲れやすくなった。他・・・
ホントね。ごめんなさいね。
わかっているのはAさん。
わかっていないのは職員ね。
ちなみにその記事は、
読売新聞2月9日号「やさしい介護学一頑張り過ぎず、余裕をもってー」です。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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