休みの日テレビを見ていたら、下駄を投げつけるお客に
「なんだこの酔っ払いに俺の芸がわかるか」
という気持ちでキャバレーで働いていたおちぶれた俳優が、
「お客は自分の鑑」
と書かれた先輩スターからの手紙で目が覚めたという話をしていた。
職員のAさんは患者さんたちに出会って、自分の心の貧しさに気がついた。
こころを閉ざしていた患者さんが話をしに来るようになった。
しかし、今こうやって話をしに来るAさんを見て、
こころを閉ざしていたのは自分たちのほうであったと思い知らされた。
「あなたなんかにできるはずがない」
という職員たちの無言のメッセージはいつも患者に伝わっていた。
職員のBさんは
「こどもが小さかったころからここで働いていたら、自分は子供の育て方を変えていた」と言う。
患者さんの本当の力をみせてもらったとき、
「このひとには無理」
となんでもかわりにやっていた自分が恥ずかしくなった。
結局は他人を通して見えるのは自分の姿。
「患者さんは自分の鑑」
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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