【2002年11月26日】うんこは教える

「嗅いでみるあなたのうんこは看護の教唆(おしえ)」
こう書いた紙を持って、いつものように廊下の壁に貼ろうかどうしようか考えながら、
施設管理課にいくと、長い取っ手がついた網をもらいにきた職員に会いました。
これ、お風呂で気持ち良くなってぷかっと浮いてきたうんこをすくう網ね。
すぐわかるわ。
「どう、これ」と紙を見せると、
「そうそう、うんこは何でも教えてくれる。
誰が落していたうんこか嗅げばわかちゃうのがプロですからね。」
この紙を廊下の壁に飾るまえに私の部屋に飾っておいたら、
めざといナースは入り口からもう見つけて、プロはいかに嗅ぎわけるか、
そのうんちくを教えてくれました。
「あたしたちは、まあ、うんこのソムリエみたいなもんですから。
臭いのもとを発見したら、くんくん犯人探しみたいにはしませんよ。
患者さんに失礼ですから。嗅ぎながら、判断するんですよ。
ワインは何年ものかあてるでしょ、うんこは何時間ものか何分ものかわからなくちゃね。
それから、ちょっとさわって、これテイスティングね。
重さとやわらかさでこのまま部屋でかえるか、
風呂場でかえるか、トイレに間に合うか決めるのよね。
で、患者さんが気持ちよくなって、満足する。それが、うんこのソムリエ!」
「誰がしたうんこかなんてわかちゃいますよね。嗅いじゃえば」
「そういえば、以前はうんこに対して皆こんなふうに反応してなかったな。
今じゃあ、床にこんもりしちゃっても、すごいって皆で見て喜んじゃうもんね。
前は、やだ、こんなとこにしちゃってっていってたわ」
プロのナースのうんこ談義。
ホントに熱心。 

※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。

  

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