Aさんは食事をなかなかしません。
とうとう点滴をしました。
今度は点滴をやめるので、なんとか食事をしてほしいのです。
さあ、どうしたら食べてくれるでしょうか。
「Aさん、点滴がなくなったので、今度はお口から食べましょうね」
そんなこといって食べてくれるくらいなら看護婦はいらないわ。
じゃあ、どうするんですかって、ちょっと見ていて御覧なさい。
これはねえ、技術なのよ、ちゃんと頭使って考えるのよ。
「Aさん、一緒に食べましょ、これいただいてもいいかしら?」
Aさんは婦長に取られるかもしれないと、がっがっと食べました。
そしてまた止まってしまいます。
「Aさん、バナナジュースおいしそう、あたしいただいちゃおうかしら」
Aさんは、また婦長に取られるかと思ってあわててごくごくっと飲みました。
ええ、婦長は口だけじゃあないですから、
本当にとられちゃいそうな雰囲気で迫ってくるので、
慌ててつい口にいれてしまうのです。
これ、ホントにベテランナースの援助技術なのよ。
わかるかなあ。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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