「外泊していた患者さんが家でお粥を箸で食べたらむせなかったんですよ。病院じゃあ自分でスプーン使って一度に入れるんで時々むせていたんですけどね。」
「私も10年以上前に経験があるわ。ずっと保護室にいたという人が手術の為に入院して、術後にようやくお粥が出たとき、お盆にスプーンしかついていなかったんで、ごめんなさいねっていって箸を取りにいって渡したのよ。そうしたら、両手でもって涙を流すのよ。どうしたのって聞いたら、箸を持ったのが20年ぶりでうれしいって。その人はペンキ屋でシンナー中毒、歯はボロボロだったから、ずっとスプーンでお粥だったのね。もちろん、箸でゆっくり食べたわ」
「なんでこんな当たり前のことに気がつかなかったのか。ほかの人にも箸出してみますよ」
-今まで当たり前だと思っていたことをもう一度見直し、本当に必要なことは何か考えよう一これは看護部の方針。
普通のことを普通にする。ただそれだけ。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
0コメント