お風呂に入ることだけは抵抗するAさん。
何と言っても
「今日は腰が痛い」
「今日は頭が痛い」
「明日は入るからいい」
となんだかんだとすり抜けます。
前入院していた病棟のナースにきくと、どうも一番風呂が大好きなよう。
そこで、風呂の入り口からAさんを手招きしました。
「お湯が入りましたよ~。一番風呂ですよ~。」
廊下にいたAさんは、他の人に入られてはならじとやってきました。
「しかし、タオルがない!」
「お貸しします」
「しかし、着替えもない!」
「持ってきます」
「しかし・・」
「早く入らないと他の人に取られちゃいますよ」
「入る入るワシが入る」
ほんとは一番風呂じゃなかったんですけど、
「やっぱり一番風呂はいい!」
何と言ってもお風呂に入らないBさん。
いつもは着物姿で粋なんですけど、
どういうわけかお風呂だけは「入りません!」
もうお手上げのスタッフがなんとかしてくださいと言うので、
看護師長が部屋にむかえに行きました。
「あら、おいでなすったわね。あなたが来たって、あたくし入りませんよ。」
「私なら入っていただけるとスタッフが思っているんです。私の顔も立ててはいただけません?」
「婦長が頼んだってあたくしは入りませんよ。お帰りになって、じゃ次は院長かしら」
結局は入ったんですけど、お風呂で死んだ振りして、
お部屋に入ったらシャキッと着物を一人できていました。
ええ、お二人とも入院中のご老人のお話ですの。お風呂ゲームが好きなんです。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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