就職してまだ1ヶ月の看護婦Aさんは、はじめての精神科勤務。
毎日新しい出会いと発見の日々。
患者さんに会えるのがうれしくて、
ウキウキ、ドキドキ、ハラハラ、
ホンワリと楽しく1日が過ぎていきます。
だのに、お年を召した患者Bさんには、
「この人が私のラーメンを食べた!」
とことごとく指を差され、
「フン!」と顔を背けられ、落ち込んでしまいます。
あら、それって、女学生の嫉妬みたいなもんじゃないの。
だって、患者さんは新しくはいってきた職員を歓迎して声をかけてくれるし、
職員だって親切におしえてくれているだろうし、
「スターの私にちやほやするのも忘れて、あんな小娘にうかれているなんて、
ここの連中の気がしれないよ」ってな心境なんじゃあないの。
そういえば、髪の毛切ったね、かわいいね、
なんてAさんは皆に声をかけてもらっていたから、・・・やっぱり嫉妬ね。
わあ、かわいい!
今日も、「フン!」攻撃にあい、
他の職員にいい顔するのをみてしまったら、
Aさんは情けなくって悲しくなってしまいました。
なんで、わたしにだけつらく当たるんでしょう、
泣きたくなっちゃいますってしょげるのです。
あらあら、それはそのままBさんに伝えればいいじゃない。
あんたなんか嫌いだって、ぽこぽこぶたれても、
そんなことしたら痛いわってはっきりいうの。
婦長はBさんに、
「Aさんにヤキモチ焼いてるのね、女学生みたいに」って言っちゃたんですって。
そしたら、Bさん、くすっと笑ったの!
「フン!」攻撃に負けず、しっかりと向き合った看護婦のAさんに敬意を払って、
Bさんは、「Aさん」と名前をはっきりと呼んですっと、手を出したそうです。
握手をした目は、見なおしたわ、って言っていたんでしょうね。
ーあのね、「この人がラーメン食べた!」って言ってたのは、
Bさんがカップラーメン食べたとき、Aさんがふーふーしてあげたからなんですって。
ーねえ、それって、婦長が「あら、おいしそう、いただいちゃおうかしら」
なんて冗談言って歩いているから、そのとばっちりだったんじゃあないの?
ーフン!
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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