老人病棟新年会の司会は明日退院の患者Aさん。
歌やゲームが終わって、別室に用意されたおやつを食べる前に、明日の退院が発表され、みんなの拍手を受けました。
「1年間お酒を飲まなかったので、きっと明日の夜は酒盛りでしょう。飲むも飲まぬも自分の人生、自分で決めてください」と励まされ、「今晩寝ないで考えてみます」と切り返して笑っていました。
帰り際、ゲームの参加賞の小さな袋を持って、私を追いかけてきました。
「きっとこれ、どら焼きだから食べてください」
私は良くもんでみて、
「きっとこれは靴下だから、記念にとっておいたほうがいいですよ」と応えた。
「じゃ、私はどら焼きをあげたんだけど、看護部長が私に靴下をプレゼントしてくれたということで、ありがたくいただきます」
Aさんは小さな袋を押し頂き頭を下げた。
晴れやかな笑い顔だった。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科専門病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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