痴呆治療病棟のAさんが、別の病棟に行く事になった。
家に帰えりたい。
ここで死ぬのは寂しいという。
家に帰れないなら、重度の痴呆の方ばかりの病棟ではない所に移ってみることにした。
痴呆治療病棟から出ると環境の変化でまたもとに戻ってしまうかもしれない。
でも、ささやかな願いをこんな形ででもかなえたい。
その日、お別れ会がしたいと仲良しの人、喧嘩ばかりしていた人、
いつもそばにいた人が、花の咲くこじんまりした中庭に集まった。
Bさんは「別れることはつらけど、しかたがないんだ君のため・・・」と歌った。
Cさんは「喧嘩できないと寂しいよ」といった。
Dさんはいつものようにニコニコと笑っていた。
ひとつ屋根の下暮らした仲間たち。
※本記事は、20年以上前(2000年11月~2004年4月)千葉県内の某精神科病院に看護部長として勤めていた頃、ナースサポートKKに掲載していたブログ『あっけらかん病院看護日誌』のアーカイブです。
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